← 一覧に戻る

Race Review — 2025年11月2日

天皇賞(秋)G1

東京 4回11日目 11R 芝2000m(Bコース) 馬場 良・天候 曇 14頭 勝時計 1:58.6

前半3F 37.1に対して後半3F 32.9。4.2秒の落差という極端な瞬発戦になり、14頭すべてが0.7秒差に収まった。1番人気マスカレードボールが4角8番手から差し切り、4着シランケドは上がり31.7という異次元の数字を記録している。

結果

詰め幅=上り3F地点の先頭との差 − ゴール着差
着馬番馬名騎手人気タイム着差 3角→4角上り3F詰め馬体重
1 7 マスカレードボール牡3・56kg ルメール 1 1:58.6 ― 6→8差 32.33 +0.6 470+4
2 9 ミュージアムマイル牡3・56kg C.デム 3 1:58.7 0.1 9→9差 32.33 +0.6 500+0
3 3 ジャスティンパレス牡6・58kg 団野大成 8 1:58.8 0.2 6→6差 32.67 +0.3 470+0
4 11 シランケド牝5・56kg 横山武史 6 1:58.8 0.2 14→14追 31.71 +1.2 516+2
5 2 アーバンシック牡4・58kg プーシャ 11 1:58.8 0.2 11→11追 32.22 +0.7 514+2
6 13 メイショウタバル牡4・58kg 武豊 5 1:58.8 0.2 1→1逃 33.111 -0.2 508+4
7 12 セイウンハーデス牡6・58kg 菅原明良 10 1:59.0 0.4 12→11追 32.46 +0.5 472-10
8 5 タスティエーラ牡5・58kg レーン 2 1:59.0 0.4 5→5差 33.010 -0.1 508+10
9 14 クイーンズウォーク牝4・56kg 川田将雅 9 1:59.0 0.4 6→6差 32.88 +0.1 542+6
10 6 ブレイディヴェーグ牝5・56kg 戸崎圭太 4 1:59.1 0.5 13→13追 32.33 +0.6 474-2
11 10 エコロヴァルツ牡4・58kg 三浦皇成 13 1:59.2 0.6 3→3先 33.312 -0.4 494+8
12 1 コスモキュランダ牡4・58kg 津村明秀 14 1:59.2 0.6 3→3先 33.312 -0.4 520+18
13 8 ホウオウビスケッツ牡5・58kg 岩田康誠 7 1:59.2 0.6 2→2先 33.514 -0.6 504-4
14 4 ソールオリエンス牡5・58kg 丹内祐次 12 1:59.3 0.7 9→9差 32.99 +0.0 478+10

単勝 270 / 複勝 140・240・360 / 枠連 770 / 馬連 910 / 馬単 1,390 / 3連複 5,020 / 3連単 15,860

ラップとペース

基準=同コース・馬場良の平均(n=204)

今回のペース

超スローRPCI 61.6 50 = 前後半おなじ速さ このコースの平常 56.4 基準より +5.2
指標今回コース基準差
前半3F37.1 36.69+0.4
後半3F32.9 34.43-1.5
RPCI61.6 56.4+5.2

RPCI は前半3Fと後半3Fの速さを比べた指数で、秒ではない。 前後半がまったく同じ速さなら ちょうど 50 になり、 50より大きいほど後半が速い=前半が緩い(スロー)、小さいほど前半から速い(ハイペース)。 ただし平常値はコースごとに違う(ダートは50前後、芝の長距離は55を超える)ので、 このサイトでは絶対値ではなくそのコースの平常との差で判定している。 前半3F・後半3Fは秒で、実測ラップから取る。ラップ未取得のレースは1200m戦のみ RPCI から逆算し(誤差 MAE 0.025秒で検証済み)、それ以外の距離は「―」と表示する。 コース基準は同じ競馬場・同じ距離・同じ馬場状態の平均。

上がり3F10.9 13.0 12.6112.3212.2312.5412.4512.2611.5710.9810.9911.110ハロン

今回同コース・同距離の平均(204走)縦軸は上ほど速い。線が上がった区間がペースアップ。

同じレースの過去

このレースが過去にどう流れたか。前3F・後3Fは実測ラップで、決まり手の横の 「推」はラップ未取得のため RPCI から逆算した値であることを示す。

年場前3F後3F勝時計 1着4角2着4角決まり手
2016東京 36.934.2 1:59.3 410 先
2017東京不 38.638.7 2:08.3 22 先
2018東京 36.234.5 1:56.8 57 差
2019東京 35.734.3 1:56.2 53 差
2020東京 36.533.6 1:57.8 410 先
2021東京 36.233.6 1:57.9 68 差
2022東京 34.736.7 1:57.5 91 差
2023東京 34.934.7 1:55.2 310 先
2024東京 35.933.7 1:57.3 135 追
2025東京 37.132.9 1:58.6 89 差

トラックバイアス

4回東京 10〜11日目(11/1〜2 計2日)の芝全レース
フラット確度: 判定なし3着内の4角位置率 基準比 -0.039 / 先行馬の複勝圏率 基準の1.11倍

クッション値9.3-0.1平年並み芝含水率12.1%-2.3かなり乾燥数値の傾き やや前残り寄り

クッション値と含水率はJRA発表の実測値。右の数字は同じ競馬場の直近3年・同じ月の平均との差で、絶対値は場ごとに常態が違うため見ない。過去17,103レースの集計では、芝は平年より硬いほど前が残り湿るほど差しが届き、ダートは湿るほど前が残る。ただし効き幅はバイアス判定の閾値には届かず、傾きを少し押す程度。

脚質バイアス(同じ開催週の年別比較)

4角位置率=(4角順位−1)÷(頭数−1)。0が先頭、1が最後方で、小さいほど前が有利。 複勝圏率は4角2番手以内につけた馬が3着以内に入った割合。最下段の「基準」は、この競馬場・ この馬場種別の全期間平均。

年1〜3着の4角位置率4角2番手以内の複勝圏率母数
2025 0.297 38.7% 31
基準0.336 34.7% 17,226

時計水準(比較できたレースのみ)

この開催週の全レース一覧ではない。同条件(距離×クラス×馬場状態)の 過去の勝ち時計が5件以上あるレースだけを載せている。少ない標本の中央値と比べても 偶然に振り回されるため。道悪の日は該当条件が少なく、載らないレースが多くなる。 マイナスは過去中央値より速い=時計の出る馬場。

日R条件勝時計同条件の過去中央値との差標本
11/12R 1400m 未勝利稍 1:23.5 +1.9 n=9
11/13R 2000m 未勝利稍 2:00.0 -1.2 n=5
11/15R 1600m 新馬稍 1:36.9 +0.3 n=7
11/19R 2400m 2勝良 2:24.8 -0.6 n=29
11/110R 1600m 3勝良 1:32.8 -0.0 n=18
11/112R 1800m 1勝良 1:44.1 -2.5 n=45
11/21R 1600m 未勝利良 1:33.6 -0.7 n=85
11/23R 1800m 未勝利良 1:47.5 -0.1 n=79
11/24R 1600m 新馬良 1:33.6 -2.1 n=64
11/25R 2000m 新馬良 2:03.6 +1.5 n=23
11/28R 2000m 1勝良 2:00.1 +0.4 n=31
11/29R 1600m 2勝良 1:33.1 -0.4 n=39

上がり最速馬はどこまで来たか

この開催週の各レースで、メンバー最速の上がり3Fを使った馬の着順。 6着以下なら赤で示す。速い脚を使った馬が届いていないほど、前が止まらない馬場だったことになる。

レースの読み

ラップは 12.6-12.3-12.2-12.5-12.4-12.2-11.5-10.9-10.9-11.1。6F目まで12秒台が続き、残り4Fで11.5-10.9-10.9-11.1。RPCI 61.6は東京芝2000m良の基準56.4を5.2上回る超スローで、この1年のG124戦で最も後傾の度合いが大きい。

この形は「位置を問わず決め手で決まる」レースになりやすい。実際、上がり1〜5位は 31.7(4角14番手)・32.2(11番手)・32.3(8番手)・32.3(9番手)・32.4(11番手)で、全員が6番手以降。一方で逃げたメイショウタバルも上がり33.1(11位)で0.2秒差の6着に粘っており、前が止まったわけでもない。スローのぶん、誰も脚を使い切らずに直線を迎えた形になる。

この日の東京芝のバイアスは位置差 -0.039・先行馬の複勝圏率が基準の1.11倍でフラット判定。馬場が特定の脚質を後押ししていたわけではない。14頭が0.7秒差という収束は、馬場でもラップでもなく「全馬が同じ土俵で決め手を出し合った」結果で、着順の差をそのまま能力差と読むのは危険な部類のレース。

4着シランケドの上がり31.7は特筆に値する。4角14番手=最後方から1.2秒詰めており、詰め幅はメンバー最大。0.2秒差まで来ているので、もう少し流れていれば結果は変わっていた可能性が高い。同様に5着アーバンシック(11番人気)も11番手から32.2(2位)で0.7秒詰め。

同レースの過去6年の勝ち馬は4角 4・6・9・3・13・8番手。天皇賞(秋)はもともと位置を問わないレースで、この年の8番手も例年の範囲に収まる。芝含水率12.1%は平年より2.3ポイント低く、時計の出やすい状態だった。

全頭短評

着順・人気は結果、評価は内容ベース
1 7

◎マスカレードボール

1人気
通過
6→8 差
上り3F
32.3 3位
詰め幅
+0.6
前走
東京優駿G1 2着 中22週

1番人気。8番手から上がり32.3で差し切り

ルメール、1番人気。東京優駿2着から中22週。基準より5.2遅い超スローを4角8番手で我慢し、上がり32.3(3位)で0.6秒詰めて差し切った。位置も脚も過不足なく、3歳で古馬G1を制した内容に文句はない。

2 9

▲ミュージアムマイル

3人気
通過
9→9 差
上り3F
32.3 3位
詰め幅
+0.6
前走
セントラG2 1着 中7週

3番人気2着。9番手から上がり32.3で0.1秒差

C.デムーロ、3番人気。セントライト記念1着から中6週。4角9番手から勝ち馬と同じ32.3を使い0.1秒差。位置も脚もほぼ互角で、着差は進路の差。

3 3

ジャスティンパレス

8人気
通過
6→6 差
上り3F
32.6 7位
詰め幅
+0.3
前走
宝塚記念G1 3着 中20週

8番人気3着。6番手から上がり7位で0.2秒差

団野大成、8番人気。宝塚記念3着から中20週。4角6番手から0.2秒差の3着。位置をうまく取り、決め手の差を位置で埋めた形になる。

4 11

○シランケド

6人気
通過
14→14 追
上り3F
31.7 1位
詰め幅
+1.2
前走
新潟記念G3 1着 中9週

最後方14番手から上がり31.7。詰め幅メンバー最大

横山武史、6番人気。新潟記念1着から中9週。4角14番手=最後方からメンバー最速31.7を使い、1.2秒詰めて0.2秒差の4着。31.7という上がりはこの1年のG1で最速。超スローで最後方という最も不利な形からここまで来たので、内容は勝ち馬に劣らない。

5 2

アーバンシック

11人気
通過
11→11 追
上り3F
32.2 2位
詰め幅
+0.7
前走
宝塚記念G1 14着 中20週

11番人気5着。11番手から上がり2位32.2

プーシャン、11番人気。宝塚記念14着から中20週。4角11番手から上がり32.2(2位)で0.7秒詰めての0.2秒差5着。人気薄でこの脚を使えており、前走の大敗は度外視してよかったことになる。

6 13

メイショウタバル

5人気
通過
1→1 逃
上り3F
33.1 11位
詰め幅
-0.2
前走
宝塚記念G1 1着 中20週

5番人気6着。超スローを逃げて0.2秒差

武豊、5番人気。宝塚記念1着から中19週。4角1番手から上がり33.1(11位)、詰め幅 -0.2で0.2秒差の6着。上がり勝負になりながら0.2秒差に粘ったのは、逃げの形が嵌まった証拠。同じ形を作れる組み合わせなら侮れない。

7 12

セイウンハーデス

10人気
通過
12→11 追
上り3F
32.4 6位
詰め幅
+0.5
前走
エプソムG3 1着 中25週

4角11番手(追)から上がり32.4(メンバー6位)。直線で0.5秒詰めた。472kg(-10)、前走はエプソムG3 1着(中25週)。

8 5

タスティエーラ

2人気
通過
5→5 差
上り3F
33.0 10位
詰め幅
-0.1
前走
QE2G1 1着 中27週

4角5番手(差)から上がり33.0(メンバー10位)。直線で0.1秒失った。508kg(+10)、前走はQE2G1 1着(中27週)。

9 14

クイーンズウォーク

9人気
通過
6→6 差
上り3F
32.8 8位
詰め幅
+0.1
前走
新潟記念G3 外着 中9週

4角6番手(差)から上がり32.8(メンバー8位)。直線で0.1秒詰めた。542kg(+6)、前走は新潟記念G3 外着(中9週)。

10 6

ブレイディヴェーグ

4人気
通過
13→13 追
上り3F
32.3 3位
詰め幅
+0.6
前走
新潟記念G3 6着 中9週

4角13番手(追)から上がり32.3(メンバー3位)。直線で0.6秒詰めた。474kg(-2)、前走は新潟記念G3 6着(中9週)。

11 10

エコロヴァルツ

13人気
通過
3→3 先
上り3F
33.3 12位
詰め幅
-0.4
前走
中京記念G3 4着 中11週

4角3番手(先)から上がり33.3(メンバー12位)。直線で0.4秒失った。494kg(+8)、前走は中京記念G3 4着(中11週)。

12 1

コスモキュランダ

14人気
通過
3→3 先
上り3F
33.3 12位
詰め幅
-0.4
前走
オールカG2 8着 中6週

4角3番手(先)から上がり33.3(メンバー12位)。直線で0.4秒失った。520kg(+18)、前走はオールカG2 8着(中6週)。

13 8

ホウオウビスケッツ

7人気
通過
2→2 先
上り3F
33.5 14位
詰め幅
-0.6
前走
毎日王冠G2 2着 中4週

4角2番手(先)から上がり33.5(メンバー14位)。直線で0.6秒失った。504kg(-4)、前走は毎日王冠G2 2着(中4週)。

14 4

ソールオリエンス

12人気
通過
9→9 差
上り3F
32.9 9位
詰め幅
+0.0
前走
宝塚記念G1 6着 中20週

4角9番手(差)から上がり32.9(メンバー9位)。直線で変わらず。478kg(+10)、前走は宝塚記念G1 6着(中20週)。

次走に向けて

前半37.1・後半32.9という4.2秒の落差。14頭が0.7秒差の決め手比べになった。

馬評価理由
シランケド 上げ 最後方から上がり31.7。この1年のG1で最速の末脚
アーバンシック 上げ 11番人気で11番手から上がり2位。前走大敗は度外視でよかった
マスカレードボール 上げ 3歳で古馬G1。位置も脚も過不足なし
メイショウタバル 上げ 決め手比べで逃げて0.2秒差。形が嵌まれば侮れない
14頭が0.7秒差。着順の差を能力差と読んではいけない典型。このレースの結果を次走に持ち込むなら、着順ではなく上がりの順位と4角位置で並べ直したい。