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Race Review — 2026年9月6日

セントウルステークスG2

阪神 4回2日目 11R 芝1200m(Aコース) 馬場 良・天候 曇 16頭 勝時計 1:06.9

ハイペースなのに、前が止まらなかった。前半3F 32.8秒は阪神のセントウルSで2016年以降の最速。それでも1着・2着がともに4角3番手以内という決着は、この11回で今年だけ。定石が馬場に上書きされたレースだった。

結果

詰め幅=上り3F地点の先頭との差 − ゴール着差
着馬番馬名騎手人気タイム着差 3角→4角上り3F詰め馬体重
1 3 フリッカージャブ牡4・57kg 松山弘平 1 1:06.9 ― 2→2先 33.76 +0.4 506-2
2 9 ピューロマジック牝5・55kg 岩田望来 2 1:07.0 0.1 1→1逃 34.212 -0.1 460+0
3 1 ママコチャ牝7・56kg 武豊 5 1:07.2 0.3 6→6差 33.42 +0.7 502+10
4 2 クラスペディア牡4・57kg 小崎綾也 13 1:07.3 0.4 3→4先 33.76 +0.4 514-4
5 4 ティニア牡6・57kg 田口貫太 15 1:07.5 0.6 10→10差 33.55 +0.6 506+0
6 7 メイショウヨゾラ牝5・55kg 吉村誠之 10 1:07.6 0.7 3→3先 34.110 +0.0 486+4
7 6 プロトポロス牡6・57kg 亀田温心 16 1:07.7 0.8 11→14追 33.42 +0.7 480-6
8 5 ダイヤモンドノット牡3・55kg 川田将雅 4 1:07.7 0.8 7→8差 33.76 +0.4 484+4
9 10 ヤブサメ牡5・57kg 田山旺佑 11 1:07.8 0.9 11→10差 33.76 +0.4 486-4
10 14 タマモブラックタイ牡6・57kg 幸英明 14 1:07.8 0.9 15→14追 33.42 +0.7 530+10
11 11 ヨシノイースター牡8・57kg 田辺裕信 6 1:08.1 1.2 7→6差 34.212 -0.1 494+8
12 13 カルプスペルシュ牝4・55kg 西村淳也 12 1:08.2 1.3 11→12追 34.110 +0.0 476+2
13 15 ビッグシーザー牡6・57kg M.デム 8 1:08.7 1.8 7→8差 34.815 -0.7 518-2
14 16 タマモイカロス牡3・55kg 池添謙一 9 1:08.7 1.8 11→12追 34.514 -0.4 522+4
15 8 ファストネットワーセ6・57kg レーン 3 1:08.8 1.9 5→5差 35.116 -1.0 506-28
16 12 レッドモンレーヴ牡7・57kg 酒井学 7 1:09.5 2.6 16→16追 32.61 +1.5 512+12

単勝 280 / 複勝 130・170・260 / 枠連 640 / 馬連 640 / 馬単 1,100 / 3連複 1,560 / 3連単 5,510

ラップとペース

基準=同コース・馬場良の平均(n=121)

今回のペース

同じ競馬場・同じ距離・同じ馬場状態の平均と比べた値。RPCIは大きいほど後傾(スロー)、 小さいほど前傾(ハイペース)。前半3F・後半3Fは実測ラップから取る。ラップ未取得のレースは 1200m戦のみ RPCI から逆算し(誤差 MAE 0.025秒で検証済み)、それ以外の距離は「―」と表示する。

指標今回コース基準差
前半3F32.8 34.21-1.4
後半3F34.1 34.51-0.4
RPCI46.2 49.2-3.0

12.0-10.3-10.5-10.8-11.4-11.9

歴代の前半3F(秒・32.2秒起点) 2016 阪神 33.1 2017 阪神 33.8 2018 阪神 33.3 2019 阪神 33.0 2020 中京 33.0 2021 中京 32.9 2022 中京 32.5 2023 阪神 33.5 2024 中京 33.6 2025 阪神 33.0 2026 阪神 32.8

同じレースの過去

このレースが過去にどう流れたか。前3F・後3Fは実測ラップで、決まり手の横の 「推」はラップ未取得のため RPCI から逆算した値であることを示す。

年場前3F後3F勝時計 1着4角2着4角決まり手
2016阪神 33.134.5 1:07.6 15 逃
2017阪神 33.833.7 1:07.5 37 先
2018阪神重 33.335.5 1:08.8 61 差
2019阪神 33.033.7 1:06.7 72 差
2020中京 33.034.9 1:07.9 48 先
2021中京 32.934.3 1:07.2 26 先
2022中京 32.533.7 1:06.2 52 差
2023阪神 33.533.7 1:07.2 112 逃
2024中京 33.634.1 1:07.7 103 差
2025阪神 33.034.4 1:07.4 123 追
2026阪神 32.834.1 1:06.9 21 先

トラックバイアス

4回阪神 1〜2日目(第1週)の芝全レース
前有利確度: やや3着内の4角位置率 基準比 +0.013 / 先行馬の複勝圏率 基準の1.25倍

脚質バイアス(同じ開催週の年別比較)

4角位置率=(4角順位−1)÷(頭数−1)。0が先頭、1が最後方で、小さいほど前が有利。 複勝圏率は4角2番手以内につけた馬が3着以内に入った割合。最下段の「基準」は、この競馬場・ この馬場種別の全期間平均。

年1〜3着の4角位置率4角2番手以内の複勝圏率母数
2021 0.361 25.0% 28
2022 0.366 20.7% 29
2023 0.360 44.8% 29
2025 0.371 33.3% 27
2026 0.336 48.3% 29
基準0.321 38.6% 14,004

時計水準(比較できたレースのみ)

この開催週の全レース一覧ではない。同条件(距離×クラス×馬場状態)の 過去の勝ち時計が5件以上あるレースだけを載せている。少ない標本の中央値と比べても 偶然に振り回されるため。道悪の日は該当条件が少なく、載らないレースが多くなる。 マイナスは過去中央値より速い=時計の出る馬場。

日R条件勝時計同条件の過去中央値との差標本
9/52R 1800m 未勝利稍 1:47.3 -0.5 n=13
9/54R 1600m 未勝利稍 1:33.7 -1.1 n=11
9/55R 1400m 新馬良 1:21.6 -1.1 n=19
9/57R 1200m 1勝良 1:07.8 -0.7 n=14
9/58R 2000m 1勝良 2:00.2 -0.1 n=29
9/510R 1800m 3勝良 1:47.5 +2.6 n=15
9/61R 1400m 未勝利良 1:21.3 -0.1 n=25
9/64R 2000m 未勝利良 2:00.6 -0.9 n=54
9/65R 1800m 新馬良 1:48.7 +0.4 n=22
9/67R 1600m 1勝良 1:33.0 -0.8 n=40
9/68R 1600m 2勝良 1:32.5 -1.0 n=25

上がり最速馬はどこまで来たか

この開催週の各レースで、メンバー最速の上がり3Fを使った馬の着順。 6着以下なら赤で示す。速い脚を使った馬が届いていないほど、前が止まらない馬場だったことになる。

レースの読み

一言でいえば「ハイペースを前で受けきれた馬の力比べ」。ピューロマジックが前半3F 32.8秒を刻んだ。阪神開催のセントウルSでは2016年以降で最も速く、コース基準(34.33秒)より1.5秒も速い。通常なら先行勢が総崩れになる流れである。

ところが、馬場が速すぎた。開幕2日目のAコースは新馬から2勝クラスまで、条件を問わず同条件の過去中央値を0.5〜1.0秒上回る決着が続いていた。先行しても消耗が小さいということで、結果は1着・2着がともに4角3番手以内。過去10回は逃げ切った年でさえ2着馬は4角5〜12番手から来ており、この形は今年だけの現象になる。

後方勢が何もしなかったわけではない。上り3F地点からゴールまでの詰め幅を見ると、レッドモンレーヴが+1.5、ママコチャ・プロトポロス・タマモブラックタイが+0.7と、脚はしっかり使っている。それでも届かなかったのは、上り3F地点での差がすでに大きすぎたから。位置を取れた時点で勝負は8割決まっていた。

決定的な証拠が、上がり最速32.6秒を使ったレッドモンレーヴの16着だ。同じ2日間でもマイル以上の5鞍では上がり最速馬が1着・1着・2着と届いており、前が止まらなかったのは主に1200〜1400m。「セントウルSでハイペースなら差し有利」という定石が、距離とバイアスによって反転した一戦だった。

全頭短評

着順・人気は結果、評価は内容ベース
1 3

◎フリッカージャブ

1人気
通過
2→2 先
上り3F
33.7 6位
詰め幅
+0.4
前走
北九州記HG3 1着 中9週

ハイペースを2番手で受けて、上がりも6位

サートゥルナーリア×サクラバクシンオー。芝1200mは8戦6勝、松山弘平とのコンビでは7戦6勝で、唯一の敗戦が中山のオーシャンS6着。前走の北九州記念は重馬場で57.5kgを背負っての勝利だった。今回は自分の型である逃げを譲り、32.8秒の流れを2番手で追走して上がり33.7(6位)。前有利の馬場に恵まれた面はあるが、そのなかで最も強い競馬をしたのはこの馬で間違いない。

2 9

○ピューロマジック

2人気
通過
1→1 逃
上り3F
34.2 12位
詰め幅
-0.1
前走
アイビスG3 1着 中5週

前半32.8秒を自ら刻んで0.1秒差

アイビスサマーダッシュ(1000m)連覇からの参戦。自分で最速級のラップを作って0.1秒差なら、逃げ馬として上々の内容だ。ただし上がりは34.2(12位)まで落ちており、作った分の消耗はきちんと出ている。1200mでは函館スプリントS勝ちがある一方、オーシャンS16着・高松宮記念13着と流れが厳しくなると崩れてきた点は残る。

3 1

▲ママコチャ

5人気
通過
6→6 差
上り3F
33.4 2位
詰め幅
+0.7
前走
さきたG1 5着 中10週

前有利の馬場を中団から。着順以上の中身

2025年2着に続くセントウルS連続好走。4角6番手から上がり33.4(メンバー2位)で、直線だけで0.7秒詰めている。7歳牝馬で馬体は+10kgだが、内容に衰えは見当たらない。この日のバイアスを踏まえれば、3着という着順は実質的にこのレースのベストパフォーマンス級と読んでいい。

4 2

△クラスペディア

13人気
通過
3→4 先
上り3F
33.7 6位
詰め幅
+0.4
前走
CBC賞HG3 11着 中4週

バイアス最大の受益者

前走のCBC賞11着から一変したが、中身は4角4番手という位置取りの利がほぼすべて。前が止まらない馬場で好位を確保できたことが好走要因で、能力の上積みを示したわけではない。次走で人気を集めるようなら評価は下げたい。

5 4

△ティニア

15人気
通過
10→10 差
上り3F
33.5 5位
詰め幅
+0.6
前走
青函SH 5着 中10週

昨年より前で運べたぶんの上積み

昨年のセントウルS(4角14番手8着)より前の10番手で運び、上がり33.5。展開が向いたというより、位置を取る競馬に変えたことが好走要因だ。とはいえ勝ち切るには一枚足りず、現状はヒモ穴の域を出ない。

6 7

メイショウヨゾラ

10人気
通過
3→3 先
上り3F
34.1 10位
詰め幅
+0.0
前走
会津SH・3勝 1着 中8週

3番手から粘って0.7秒差

3勝クラス(会津S)を勝ったばかりでの重賞初挑戦。4角3番手の絶好位から0.7秒差なら悪くないが、上がり34.1(10位)で最後は苦しくなった。芝1200mは3戦2勝と条件は合う。相手強化での通用度は、もう一段の見極めが要る。

7 6

プロトポロス

16人気
通過
11→14 追
上り3F
33.4 2位
詰め幅
+0.7
前走
CBC賞HG3 4着 中4週

最低人気で14番手から0.8秒差

前走のCBC賞も17番人気4着と、この夏はハンデ戦の軽斤量で穴をあけてきた。今回は57kgを背負って14番手から上がり33.4(2位タイ)、直線で0.7秒詰めている。前有利のバイアス下でこの着差なら、内容は着順よりずっと上に評価できる。

8 5

ダイヤモンドノット

4人気
通過
7→8 差
上り3F
33.7 6位
詰め幅
+0.4
前走
NHKマG1 5着 中17週

3歳の距離短縮初戦としては及第点

NHKマイルC5着からの1200m。4角8番手・上がり33.7で、流れ自体には対応できていた。ただ、この馬場のこの位置からでは物理的に届かない。ファルコンS勝ち・朝日杯FS2着の実績どおり素質は高く、距離を詰めての内容も悪くない。次走以降で見直す余地はある。

9 10

ヤブサメ

11人気
通過
11→10 差
上り3F
33.7 6位
詰め幅
+0.4
前走
朱鷺S(L) 12着 中2週

位置は取れたが伸び切れず

淀短距離S勝ちがある1200mの実力馬だが、今年は京王杯SC10着・安土城S8着・朱鷺S12着と精彩を欠いている。今回は4角10番手・上がり33.7。前走の18番手からは前進したものの、得意の決め手勝負に持ち込めないまま終わった。

10 14

タマモブラックタイ

14人気
通過
15→14 追
上り3F
33.4 2位
詰め幅
+0.7
前走
CBC賞HG3 16着 中4週

後方から上がり33.4も0.9秒差

4角14番手から上がり33.4(2位タイ)、直線で0.7秒詰めた。プロトポロスと同じく位置取りが全ての一戦。3月に阪神の米子城Sを勝っているようにコース自体は合うが、この日の馬場で後方からでは形にならない。

11 11

ヨシノイースター

6人気
通過
7→6 差
上り3F
34.2 12位
詰め幅
-0.1
前走
北九州記HG3 3着 中9週

好位から下げた。額面以上のマイナス

前走の北九州記念3着からの臨戦で、4角6番手と位置は取れていた。それでいて上がり34.2(12位)、上り3F地点の差1.1秒に対してゴールでは1.2秒差と、直線で0.1秒失っている。前が止まらない日に好位から下げた事実は、着順以上に重く見たい。8歳という年齢もある。

12 13

カルプスペルシュ

12人気
通過
11→12 追
上り3F
34.1 10位
詰め幅
+0.0
前走
函館スプG3 5着 中12週

位置を取れず持ち味が消えた

シルクロードS4着・函館スプリントS5着と、前3走はいずれも4角3番手前後で運んでいた馬。それが今回は12番手で、32.8秒の流れに全く乗れなかった。上がりも34.1止まり。乗り替わりが続いている点も含め、次走は先行できるかどうかが唯一の条件になる。

13 15

ビッグシーザー

8人気
通過
7→8 差
上り3F
34.8 15位
詰め幅
-0.7
前走
アイビスG3 4着 中5週

中団から上がり34.8で失速

アイビスサマーダッシュ4着(1000m)からの距離延長。4角8番手の中団で流れに乗れず、上がりは34.8(15位)。京阪杯を勝った頃の破壊力は影を潜めており、現状は1200mより短い距離のほうが向いている。

14 16

タマモイカロス

9人気
通過
11→12 追
上り3F
34.5 14位
詰め幅
-0.4
前走
CBC賞HG3 6着 中4週

3歳で古馬G2の流れに置かれた

葵S3着・CBC賞6着と力はつけてきたが、今回は12番手から上がり34.5。前半32.8秒という古馬G2の流れは、これまで経験してきたペースとは別物だった。3歳の秋としては、この一戦で見限る必要はない。

15 8

ファストネットワー

3人気
通過
5→5 差
上り3F
35.1 16位
詰め幅
-1.0
前走
CSPG1 4着 中19週

4角5番手(差)から上がり35.1(メンバー16位)。直線で1.0秒失った。506kg(-28)、前走はCSPG1 4着(中19週)。

16 12

レッドモンレーヴ

7人気
通過
16→16 追
上り3F
32.6 1位
詰め幅
+1.5
前走
高松宮記G1 2着 中23週

上がり最速32.6。最も割り引くべき敗戦

上り3F地点で先頭から4.1秒差の最後方、そこから1.5秒詰めての16着。上がり32.6はメンバー最速で、着順は位置取りとバイアスの産物でしかない。前走・高松宮記念2着(15番人気)の内容から能力は健在で、23週ぶりだった点も込みで今回は度外視。流れが速く差しが届く舞台なら、一発がある。

次走に向けて

舞台は中山芝1200mのスプリンターズS。阪神の高速馬場・前残りという今回の前提が外れる可能性が高いぶん、着順の再評価がそのまま妙味になる。

馬評価理由
ママコチャ 上げ 前有利の馬場を4角6番手から0.3秒差。上がりはメンバー2位で、着順以上の内容
レッドモンレーヴ 上げ バイアス最大の被害者。上がり最速32.6で、差しが届く舞台なら高松宮記念2着の再現も
プロトポロス 上げ 16番人気で14番手から0.8秒差。斤量が軽くなるハンデ戦なら引き続き妙味
フリッカージャブ 据え置き 内容は文句なし。ただし中山はオーシャンS6着のみで、コース適性が唯一の未知数
ピューロマジック 据え置き 逃げて0.1秒差だが上がり34.2への落ち込みは小さくない。忙しい中山1200での持続力が鍵
クラスペディア 下げ 4角4番手という位置の利が大きい。人気になるようなら消し
ヨシノイースター 下げ 好位から直線で0.1秒失った。前有利の日に位置を活かせなかったのは重い
今年のセントウルSは「前半32.8秒のハイペース × 開幕2日目の超高速馬場」という組み合わせで、例年の定石が反転した一戦。上位馬の価値を否定する必要はないが、次走の舞台がこの前提を引き継がないのであれば、評価の順番は着順とは別に組み直したい。